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ICTを活用し、子どもたちの個性や創造性を育む「個別最適な学び」をカタチに
- 自治体名
- 福岡県飯塚市
教育委員会 - 利用サービス
- GIGAスクール対応教育機関専用インターネット回線
GMO光アクセス for Education - サービス導入履歴
- 2021年10月より
福岡県飯塚市教育委員会では、ICTを活用した教育に力を入れています。取り組みに当たって、2018年から国の指針に従い、計画的にインフラ整備を行ってきました。しかし、実際に生徒に端末を配り、活用を試みたところネットワーク環境が追いつかず出端が折られる結果に。現場の士気も下がってしまったといいます。そこで2021年10月、新たにインフラを整備するに当たって導入したのが、GIGAスクール対応教育機関専用インターネット回線「GMO光アクセス for Education」です。
今回は、飯塚市教育委員会ICT推進室の皆様に、ICTを活用した教育現場の様子やインフラ強化の背景、そしてGMOインターネットグループ株式会社が提供しているサービスの導入についてお話を伺いました。
子どもたち一人ひとりに光が当たる「個別最適な学び」
ICTを活用し、「個別最適な学び」の実現を目指して取り組まれていると伺いました。
井上:これまでにも、少人数クラスといった「指導の個別化」は導入されています。一方で、従来の授業では「今日の授業のテーマはこれ」「この問題の調べ方はこれ」といったように、みんなで一斉に決まったルールで進める必要がありました。子どもたち個別の習熟度に合わせて課題設定を変える「学習の個別化」というのは難しかったのです。
しかし、ICTを活用することで、先生は子どもたちそれぞれの状況を把握しながら、習熟度に合わせて個別の指導を行えるようになると考えています。
実際の授業はどのような様子なのでしょうか?
井上:ICTを活用した授業の良さのひとつが、子どもたちそれぞれの調べ方や考え方が共有できることです。以前は、問題を出して誰かに発表してもらってというのがよくある光景でした。
今は、子どもたちすべての考え方や調べ方をタブレットにまとめてもらい、一覧にして電子黒板に共有することができます。問題を出して、1、2分経過したあとに、「じゃあ、途中経過を見せて」と一覧でクラス全員と共有。調べ方がわからなかった子は、他の子の考え方を見てヒントをもらうことができる。
あとは、先生がコーディネートしながら授業を進めていきます。ただ正解を教えるのではない。子どもたちの考え方の一覧の中から、いくつかを取り上げて「じゃあなぜ、この考え方は誤りなのか」を伝えられるようになりました。
有吉:「発表」となると、おとなしい子は答えがわかっていても手をあげることができません。必然的に「決まった子」の発表で授業が進んでしまう。でも、「タブレットに答えを書く」であれば答えることができます。先生はクラスみんなの考えを知ることができ、個別の理解力を判断。さらに、今まで積極的でなく光が当たらなかった子も、先生がピックアップして紹介することで自信につながる。子どもたち一人ひとりに光が当たる、そのようなメリットもあるのではないかなと思うのです。
授業を担当する先生方に負担はないのでしょうか。
井上:慣れる必要はあるとは思いますが、ICTならではのこれまで板書していた問題文を書かなくなるといったメリットがあります。宿題も、いくつか用意した問題を子どもの習熟度に合わせて出すことができ、採点は自動化。先生方は採点に費やしていた時間を、「なぜ間違えたのか」ということを見て、対応を考える時間に変えることができました。
保護者の皆さんの反応はいかがですか。
有吉:当初、端末を配布したときは、勉強にどう使うのかイメージできない保護者の方が多くいらっしゃったと思います。そこで教育委員会では、ICTを活用した授業の様子をまとめた「ギガスクール通信」を発行。そこで、飯塚市内の学校の事例を紹介しています。今後は、学習参観といった場で実際に使う様子を見て、理解を深めていただきたいですね。
ICT教育を進めるに当たって、インフラ環境がネックに
飯塚市教育委員会では、2021年10月から「GMO光アクセス for Education」を導入いただいています。導入のきっかけは何だったのでしょうか。
有吉:私たちは、ICT環境の運用に向けて、2018年に国の指針に合わせて整備計画を策定し、計画的にインフラ整備を行ってきました。2020年には生徒・児童だけでおよそ1万台、教師はおよそ400台のChromebookを整備しました。もちろんその際には、ネットワーク環境も再度整えたのですが、時間帯によってはつながりにくく、ネットワークが追いつかないという状況に。そこで導入したのが、「GMO光アクセス for Education」です。
不安定なインフラ回線は、教育現場にどのような影響があったのですか。
井上:回線がつながらないことで、先生や子どもたちがICTに対してネガティブな印象を持ってしまいました。端末が配られて積極的に活用しようと思っても、つながらなければ意味がない。実は「GMO光アクセス for Education」を取り入れる前月2021年9月に、教育委員会では通信テストもかねて市内全校一斉のオンライン授業を企画しました。ちょうど、新型コロナ感染症が拡大状況にあったころです。自宅からのオンライン学習を1週間ほど行ったのですが、現場はとても苦労していました。
有吉:やっぱり、うまくつながらなくて…。結局、学校が工夫をしてくれて、オンラインの時間を少しずつずらして行なってくれました。まずは低学年から順に、5~10分オンラインで授業をして、1回止めてオフラインでプリント学習をして…というように。とはいえ、初日は全くだめで、このままではまずいと危機感を覚えましたね。
井上:以前は、何かあるとすぐに環境のせいだと考えていました。環境が悪いから一歩を踏み出せず、「やってみたけれど、つながらないからダメでした」となってしまう。でも、環境が整ってからはそういった声は聞かなくなりましたね。現場の先生方の意識も、大きく変わりました。通信環境が整ったことで初めて、「個別最適な学び」の実現に向けて動けるようになったと思います。
経験とICTを融合し、新しい学び方につなげたい
では、現時点での課題はどういったものがあるとお考えでしょう。
井上:ICTが得意な先生とそうじゃない先生で、利用頻度に格差が出ていると感じています。どの学校・どの教室でも、同じレベルで実践できるということは重要です。学年が変わったり進学したりしたときに、生徒にレベルの差ができてしまってはいけませんから。ICTを活用しなくても“我流”で授業を進めたいと考える先生もいるのですが、それでは生徒の情報活用能力を高めることができません。やり方を変えないといけない部分を研修などで促しながら、効率的・効果的な学習指導について伝えていくことが必要です。
有吉:経験のある方は、指導力も高い。教え方も上手です。だからこそ、今までの経験とICTがうまく融合できれば、私たちが目指している新しい学び方につながっていくと考えています。
先生方の足並みをそろえるために、教育委員会で何か取り組まれていることはありますか。
有吉:これまでに、対面での研修を何度も行っています。とはいえ先生方も忙しいので、何度も対面研修に参加できるわけではありません。そこで今後は、ミニ研修動画を作って、必要なときに都度、先生が学び実践できる仕組みを作る予定です。2時間の研修動画を見ることは大変で、大きな負担になります。そこで「まずは今月、これを1個だけ授業に取り入れてみよう」と小さな目標を作り、気負わずに試していけるような研修動画にしたいと考えています。
2024年度からは、英語の学習用デジタル教科書の導入が決まっていますが、懸念している点はあるでしょうか。
有吉:デジタル教科書については、通信の部分で何か問題が発生しないかどうか、心配な部分もあるのです。とはいえ、2022年度には中学生の理科の授業で学習用デジタル教科書を採用していますが、大きな不具合の連絡は入っていません。
井上:これまでにもオンライン会議ツール「Google Meet」を使って、全校一斉に授業をしたこともありますが、インフラ環境を整えて以降はストレスなく進行できました。双方向のやりとりが、トラブルなく進むのであれば現場としても問題はありません。もちろん今後は、デジタル教科書がどんどん発展して、教育現場ではよりデータを使う機会も増え、容量も大きくなってくることでしょう。負荷がさらに大きくなったときにどう対応していくのか。GMOインターネットさんに相談させていただけるとありがたいですね。
端末を文房具のように。目指すのは「教育DX」
今後ICTを活用してどのような教育にチャレンジしていきたいとお考えでしょうか。
有吉:目指すのは、「教育DX」。本格的に教育現場でICTを取り入れ始めて、2年が経ちました。
これまでは、環境を整える「デジタル化」に力を入れていましたが、今後は「教育DX」を目指すため、2023年度は「デジタライゼーション」くらいまで進めたいです。オンラインでの活用というのはごく一部。文部科学省では、端末を「文房具のように」使っていきたいと指針を出しています。ノート代わりに使ったり、板書を写真に撮って保存したり、シンキングツールとして活用したりと、さまざまな使い方ができるのです。
特別なものではなく、鉛筆やノートに並ぶツールとして活用していきたいですね。授業だけでなく、先生方の校務についてもDXを進めていかなければいけないと思います。
教育現場の
ICT活用をご支援します
教育DXに向け積極的に取り組みを行う飯塚市様。
今後教育現場に求められることは増え、柔軟な対応が必要不可欠となってきます。GMOインターネットグループ株式会社は、これからも飯塚市様のさまざまな挑戦をICTの面から支援していきます。
サービスの導入は当社Educationパートナー
「ベルウッド株式会社」様が行っています。